モヤモヤを晴らしてくれる本の最近のブログ記事

 『トヨタの元工場責任者が教える 入門トヨタ生産方式 ~あなたの会社にも「トヨタ式」が導入できる』という本を読みました。 
 中小製造業の皆さんが、自社の改善・改革に、トヨタ式をどのように活用したらよいのかについて、とてもわかりやすく説明してくれています。

 トヨタ生産方式の ‟形"  ‟仕組み" 、経営上の‟意義" は大野耐一氏の本、トヨタ生産方式の ‟伝道者" と呼ばれている諸先生の書かれた本から知ることができます。 ただ、トヨタ自動車と直接のかかわりのない中小製造企業が経営改善・工場改革にトヨタ式を使おうと考えたとき、トヨタ式活用の道しるべとなる情報はあまりなかったのではないかと思います。
 上にあげた 『入門トヨタ生産方式』 はこの隙間を埋めてくれる本です。 トヨタ式を活用したい実務家にお薦めしたい本です。
 まえがき(●はじめに)の最後の部分に書かれた文章を転載します。 書かれている通りの本だと思います。
・・・ 大切なのは、トヨタ生産方式の本質=「当たり前のことを、根気よくやり続けること」 を、現場レベルで理解した人材(財)を育てることだからです。 それができれば、トヨタ生産方式は、中小企業の仕事はもちろん、どんな仕事にも応用できる最強のビジネスモデルとなるでしょう。 トヨタ生産方式の本質を理解することで、人が育ち、企業体質が強化されるのです。・・・

51MR1KTQHKL._SX344_BO1,204,203,200_[1].jpgのサムネール画像

部下を育てるものの言い方.jpg

 最近、いろいろと考えさせられる本に出会いました。

 井上健一郎さんの書かれた「部下を育てる『ものの言い方』」(集英社)という本です。

 「はじめに」から、一部抜き書きさせていただきます。

 

・・・職場の上司と部下。 たったひとつのすれ違いからその後の関係に大きな溝ができてしまう。 何でそんなことが起こるのでしょうか。

 その一番の原因は、「ものの言い方」ではないでしょうか。 抽象的で曖昧な言い方、感情がわかりにくい言い方、根拠がよくわからない言い方、目的がはっきりしない言い方、 そういう「ものの言い方」が、聞き手の解釈に幅を生んでしまうのです。・・・・

 本人の意図とはまったく異なった解釈をされる、このような状況は至るところで今起こっているのです。

 部下指導にあたっている上司の方の発言に、「いつもいっているんですけどね」とか「いくら言ってもわからないんです」というのがすごく多いのは、その表れではないかと私は思っています。

 本当の原因は、「上司の言いたいことがちゃんと理解されて伝わっていない」ということだと思っています。お互いの気持ちのすれ違いが起こっていると思います。

 ・・・もうひとつうまく伝わらない理由・・・は、部下の心理状態です。 ・・・上司が部下に期待していること、それは、「言ったことはちゃんとやってほしい」「もっと自分で考えて、言われなくても動いてほしい」「先頭に立って周りを引っ張ってほしい」というようなことです。

 ・・・反対に、部下のほうはどんな気持ちでいるでしょう? それは、「自分の存在価値を認めてもらいたい」「さすが!と思えるような、適切なアドバイスをしてほしい」ということです。

 ・・・両者の間にギャップがあることがわかります。

 ・・・上司は部下の期待をよく理解した発言をする必要がありそうです。 部下の期待を一斉無視した「言い方」では、部下の気持ちを前向きにすることはできません。

 部下の気持ちを前向きにするためにも、「ものの言い方」は重要なポイントなのです。

 上司が部下のためを思って言っていることが、部下にとっては、とても耐えられないことであったり、上司の言いたいことが正確に伝わっていなかったりしたら、向き合うどころか、お互いにそっぽを向いているのと同じになります。

部下を育てるものの言い方③.png

 本全体を通して、難しい用語はほとんど使われていません。 もちろん、モチベーション論、リーダーシップ論、コーチングの考え方などもしっかりと踏まえておられると思います。 そのうえで、著者なりの「ものの言い方」で、「ものの言い方」を説かれておられるのでしょう。

 日常、私が使ってしまいがちな「ものの言い方」一つひとつについて、部下の受けとめ方、「こう言った方がいい」という事例をあげて、説明してくれています。 

 「その通りだな~!」「直していかないきゃ!!」と、振り返らせてくれました。

 ここ1か月ほどの間に開催した「モチベーション」「リーダーシップ」「人材育成」に関連したセミナーで、この本を紹介しながら、受講者と一緒に「ものの言い方」を考えました。 そして、多くの受講者が共感してくれました。

 部下との関係をよりよくしたい方、自分の「ものの言い方」に問題があるかもしれないと感じられている方には、役に立つ本です。 

  いわゆるハウツー本とは違い、読者の心と頭の深いところに、新鮮な刺激を与えてくれる本だと思います。

 

 

 

『会計』の基礎的なことが書かれた、たいへん読みやすい本に出会うことができました。

『実学入門 経営がみえる会計 目指せ! キャッシュフロー経営』(田中靖浩 著 日本経済新聞社 発行)です。

企業の経営改善・現場改善の支援をおこなうとき、まず、経営数字を分析し、現場の実態を踏まえて、経営課題を提起し、支援をスタートします。 また、セミナーで現場の管理・監督者を対象に、原価計算法を説明したり、経営分析手法について講義することもあります。

私のコンサルティングの仕事のレベルアップとクライアント・セミナー受講者の自己啓発に活用できる本を常に探しています。 最近は、会計・経理の基礎知識をもたない、そして経営数字に馴染んでいない中小企業経営者が読みたくなるような、財務諸表、原価計算、財務分析関係の本を探してきました。それに、昨日出会いました。それが、上に記した田中靖浩さんの書かれた本です。

全部で231頁ですが、一挙に読み切りました。 「数式」が出てくるのは、ほんの数ページ少しだけ。 説明の論理もシンプル。 一つの文章の長さはほとんどが1行または2行。 経営者に知っておいて欲しい項目は、きちんと入っている。 大変だったと思うのですが、よく絞り込まれています。

中小企業の経営者にお薦めできる本、これから経営にたずさわる経営者予備軍(会社の幹部層)の方に読んでもらいたい本です。

私の読んだのは、この本の改訂版(第2版) 2004年版でした。 ITバブル崩壊後、経済が立ち直りつつあるときに発行されています。  その時期の雰囲気について、

「・・・でも、やっとのことでその重い空気にも変化の兆しがみえはじめたようです!

2004年3月の決算発表では、待ちに待った①増収増益の会社が数多く登場してきました。

さあ、これから数年は、②減収増益から①増収増益への転換がニッポン最大のテーマになりそうです」

と書かれているのですが、著者が今(最近を)どのように認識しているのか興味があり、第4版(2013年2月発行)を注文しました。 

経営がみえる会計.png

 

中古本で買った本の最新刊を買うのは珍しい(3回目)です。

第4版を読んで、気づきがあれば、このコーナーにまた書きます。

第2版の目次(大項目)を参考までに記載しておきます。

  1.増収増益、そして目指すは元気増      

  2.企業を映し出す鏡

  3.「投資とリターン」という基本に帰ろう

  4.「投資とリターン」を映す決算書

  5.投資するカネをいかに集めるか

  6.カネを生む投資をしているか

  7.会社の実力をはかる

  8.キャッシュフロー経営への出発

  9.儲ける仕組みをどうやってつくるか

  10.これからの経営に必要なこと

 

 

 マーケティングのことを、たいへん読みやすく、分かりやすく説いてくれている本を見つけました。

中小企業を支援するなかで、マーケティング面から企業の課題をとらえ、改善策を考えていただくことが必要な場面が出てきます。 ローマ字の熟語やカタカナのマーケティング分野の専門用語を使って説明したのでは、こちらの意図をうまく伝えられません。 "大和言葉"中心に、抽象度をおさえた教科書がないものかと思っていたところ、この本に出会いました。

宮永博史先生が書かれた『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』(㈱KADOKAWA/中経出版)です。

518dIgOPdhL[1].jpg

目次は

第1章 マーケティングにおけるコミュニケーションの役割

第2章 見えないお客様の見つけ方

第3章 いかにして有益な情報を集めるか

第4章 お客様の問題を発見しよう

第5章 商品以外に大切なこと

第6章 マーケティングを実践しよう

となっています。

どうして、このような雰囲気の本ができたのか。

宮永先生ご自身のキャリアもあるでしょうし、現在勤務されている大学での社会人学生との議論の積み重ねが背景にあるからなのではないかと思います。

私の読んだ宮永先生の他の著書はどれも読みやすく、スーっと頭の中に納まる感じがします。

『セレンディピティ』『顧客創造』『理系の企画力』、今読みかけている『技術を武器にする経営』(これは、伊丹敬之先生との共著)しかりです。

『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』を読み込んで、私の中小企業支援の教科書に活用していきます。

 

ウォルター・アイザックソンの "Steve Jobs" Ⅰ、Ⅱを読みました。 Steve Jobs.png

Stave Jobs の仕事のことは、多くの戦略本やインベーション本で取り上げられています。

例えば、マーク・ジョンソンの "ホワイトスペース戦略" にはこんなふうに書かれています。

「アップルという沈みかけた船を浮上させるために、ジョブスは定石どおり商品のイノベーションを行い、早々にファッション性の高いデスクトップパソコンのiMacと低価格ノートパソコンのiBookを市場に送り出した。・・・・実際、初代iPodのデザインは、ダイアモンド・マルチメディアのリオそっくりだった。 このときアップルは、良質のテクノロジーをおしゃれなデザインに包んで送り出すにとどまらず、それよりはるかに賢明な行動をとった。 良質のテクノロジーを素晴らしいビジネスモデルに包んで送り出したのである。・・・・アップルはiTunesストアを開設。ハードウェアとソフトウェア、デジタル音楽をセットにして提供することにより、利便性を高めて、顧客を囲い込むことに成功した」

 

なにか非常に論理的に、いわゆるMBA的、戦略的な発想で、事業を展開していると思わせる表現です。 Steve Jobs①.png

ビジネスモデルのイノベーションというところに焦点をあてて事跡を整理すると、こうなるのでしょうが、"Steve Jobs" に描かれている Steve Jobs氏は、これとは対極的なところに、本質があるように感じました。 

ホワイトスペース戦略の中にも 「スティーブ・ジョブズのように、ビジネスモデルを刷新・創造するためになにが必要かを直感的に理解できている人物も稀にいる」 と書かれています。 論理的ではあるのでしょうが、それ以上に、すごく直感的で、アーティスト・芸術家的な発想をする人のようです。どうも一筋縄では理解できそうにありません。

新しいことを生み出す人、自分とうまのあう優秀な人の能力を十二分に引き出す人、直感的に 「これだ!!!」 と思ったことに徹底的にこだわる人、音楽が好きな人、 つきあうのは大変な人・・・。 Steve Jobs氏は、好意的な意味で、とてもへんな人です。

イノベーションは論理だけではなく、芸術的な創造性が必要なのか? などとも考えさせられました。

ボブ・ディラン、ビートルズ、ジョニー・ミッチェル・・・グレン・グールド、ヨーヨー・マ・・・  音楽もとても好きだったようです。また、デッドヘッズ(米国のグレートフル・デッドというロックバンドの熱心なファン)ということです。 

戦略のことを勉強する人は、経営学的なアプローチだけではなく、戦略を生んだ人、イノベーションを起こした人、その "人" のことを"知る"ことが大事だというのが、今回の教訓です。

『はじめに』から

マニュアルと聞くと「無機質で、冷たい印象がするもの」と思うかもしれません。・・・

無印良品のマニュアルは、決して無味乾燥なものではありません。むしろ、日々の仕事に生き生きと取組みながら、成果を出していくことができる最強の"ツール"です。

楽しく、ムダなく働きながら、仕事の成果を出していくことができるのです。・・・・

・シンプルに仕事ができる仕組みがあれば、ムダな作業がなくなります。

・情報を共有する仕組みがあれば、仕事にスピードが生まれます。

・経験と勘を蓄積する仕組みがあれば、人材を流動的に活用できます。

・残業が許されない仕組みがあれば、自然と生産性が上がります。

 

『年間440件の現場の知恵を逃さない』からmujirushi.png

多くの会社では、マニュアルは"上の人たち"が作成しているでしょう。

トップダウンで決めごとをつくり、現場に渡しているのではないかと思います。

無印良品でも、最初のマニュアルは本部主導で作成していました。けれども、店舗で頻繁に使われ、すべての店の業務を統一するというレベルにまでは達しませんでした。

なぜなら、「現場を知らない人」がつくっていたからです。

現場の問題点を知っているのは、やはり現場の人間です。

埃のたまりやすい場所がある、棚の角が出ていて作業がしずらいといった、ちょっとした問題点は、本部の人間がたまに視察に訪れるくらいでは、なかなか気づきません。

マニュアルをつくるときには、この知恵を拾い上げる、つまりボトムアップの仕組みを整えることが大切です。

マニュアルは、それを使う人が、つくるべきなのです。

また、特定の部署だけがつくるのではなく、必ずすべての部署に参加してもらうこと。さらにいうなら、すべての社員が参加できる道筋を整えておくのがコツです。

マニュアルを活用している中小製造業はどのくらいあるでしょうか?

良品計画会長の松井氏の著された『無印良品は、仕組みが9割』には、マニュアルの大切さと、その活用成功の秘訣が、とても丁寧に、平易に書かれています。 いい仕事をして、お客様に満足していただく基盤に、マニュアルを活用する現場があるのです。

流通・サービス業だけでなく、製造業の管理監督者にも、気づきを与えてくれる本です。

41DQH5FGW5L[1].jpg

『腑に落ちる』という言葉があります。「納得がいく」「合点がいく」という意味です。『腑』とは「考え」や「心」が宿るところと考えられ、「心」「心の底」といった意味があるそうです(『語源由来辞典』から)

最近、あるきっかけがあり、ジョン・P・コッター先生の書かれた『リーダーシップ論』を読みました。

▼ 「リーダーシップ」と「マネジメント」は別物である。

こんな風に明確に、すっきりと切り分けてくれています。

▼ 「マネジメントの役割、リーダーシップの役割」について、「複雑な環境にうまく対処するのが、マネジメントの役割である」、これに対して「リーダーシップとは、変革を成し遂げる力量を指す」とこれも明快です。

▼ また、マネジャーが他社に依存しながらパワーを生み出すには、

「恩義を感じさせる」

「ある分野の専門家としての評判を高める」

「周囲の人々が知らず知らずのうちにマネジャー本人やその考え方と一体感を感じるようにする」

「マネジャーに依存することで助けられ、守られているのだと、周囲の人に実感させる」

という4項目をあげて説明している。 実在のマネジャーの有りようから帰納したものであり、「なるほど!」と「腑に落ちる」考え方です。

▼ 成果に結びつく変革はたいてい、次の八段階のプロセスを経ている(企業変革の八段階)。

①危機感を醸成する

②変革プロセスを主導できるだけの強力なチームをつくる

③ふさわしいビジョンを構築する

④構築したビジョンを組織内に伝達する

⑤社員がビジョンに向け行動するように、エンパワーメントを実施する

⑥信頼を勝ち取り、批判を鎮めるために、短期間に十分な成果を上げる

⑦活動に弾みをつけ、その余勢を駆って、変革を成し遂げるうえでのより困難な課題に挑む

⑧新しい行動様式を組織文化の一部として根づかせる

いたって当たり前のことかもしれないが、8つを並べていただくと、『変革は実現できる!』という勇気につながるのではないでしょうか。

久しぶりに、『腑に落としてくれた』本であり、考え方です。

素晴らしい本に出会いました。20130321.jpg

金井壽宏先生の書かれた『リーダーシップ入門』に、J.ウェルチさん、松下幸之助さん、小倉昌男さん他の方のリーダーシップの持論が紹介されています。 最近読んだ、同じく金井先生の『働くみんなのモチベーション論』の中にも、小倉昌男さん他の方の持論のことが、触れられています。

小倉昌男さんのことは、イノベーション系の書籍でよく事例として取り上げられていますので、ご存知の方も多いことと思います。小倉さんが開発された「宅急便」という新しい業態が日本の流通を大きく変革することにつながりましたし、行政に大きなくさびを打ち込まれたこともすごいです。

※この「宅急便」サービス、ひとりのユーザーとしてかなり高頻度に利用させて頂いていまして、とても感謝しています。

 

『小倉昌男 経営学』、とても気なる本だったのですが、ついつい読みそびれていました。 あるセミナーでモチベーションのことを取り上げることになり、「この際、勉強しよう」と考え、さっそくアマゾンに注文しました。

この本に、引き込まれてしまいました。 当事者が書いたイノベーション論ですし、リーダーシップ論、モチベーション論でもあります。 素直な文章で、とても読みやすいです。

現在の事業を革新したい経営者、企業のイノベーションやモチベーションアップを支援したいコンサルタントには、必読の書です。 かならず、何かに気づき、変えていくための何かを得られるはずです。

20130321-3.jpg金井先生の『リーダーシップ入門』に書かれている「小倉昌男氏のリーダーシップ持論」(経営リーダー10の条件)を転記しておきます。

 (1)論理的思考

(2)時代の風を読む

(3)戦略的思考

(4)攻めの経営

(5)行政に頼らぬ自立の精神

(6)政治に頼るな、自助努力のみ

(7)マスコミとのよい関係

(8)明るい性格

(9)身銭を切ること

(10)高い倫理観

 ※(1)(2)(3)(4)(8)は、コンサルタントの条件でもあると思います。

  

  

   

 

 

  

20130321-2.jpg※松下幸之助さんについては、ジョン・P・コッターさんの『幸之助論』(金井先生監訳)を1年ほど前に読み、コンサルティングの持論をつくっていく上でのいろいろなヒントを得ました。これも、素晴らしい本です。

 

すでに、この本を読まれている方は多いことと思います。ディズニーの教え方.jpg

「部下を、後輩をどう育てていくか?」「一日も早く戦力になってもらうにはどうしたらいいか」ということに苦労されている管理者、監督者はほんとうにたくさんいらっしゃいます。

また、「いろいろな手法に挑戦しても、ものにならず、挫折した」ということもあるのではないでしょうか。たとえば、「コーチングを勉強したけど、実際にはなかなかうまくいかなくて・・・」「意識してOJTに取り組んだけど、定着しないし、制度のための活動になってしまって・・・」

そんな人に、この本は役に立つのではと考えながら、読ませていただきました。

変わった、ユニークなことが書かれているわけではありません。一つひとつの「部分」は、人材育成やコーチング、OJT、方針管理等々の教科書に書かれているのではないかと思います。

ディズニーでは、そんな当たり前のことを、「すべてのゲスト(ディスニーを訪れたお客さま)にハピネスを提供する」というミッションのもと、統合して、ディズニーランドという"場"の中に溶け込ませているのだと理解しました。

ディスニーランドは、直球勝負でひとを育てています。そして、この本は、そのことを直球勝負でストレートに描き出しています。 現場でひとを育てるときの、道標(道しるべ)の本です。

 

いい音楽はたくさんあります。

ロバートデニーロが「映画、見きれないな~」とボソッとつぶやく、テレビコマーシャルを見ました。松田龍平さんも共演していました。おしゃれで、ちょっと気になる(ドコモの)コマーシャルです。そうなんですね。映画の好きなひとは、映画を見きれないし、音楽の好きなひとは、音楽を聴ききれない。

※今、ジム・ホールとパット・メセニーのギターデュオのCDを聴いています。こんなCDがあるんですね。とても、いいです。アマゾンさんありがとうの心境です。

ジムホール.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本も同じです。とても読みきれません。でも、この年になって、はじめて出会って、「なるほど、なるほど。そうですね!」とつぶやいてしまう本もたくさんあります。残り、人生が20年残っていて、月5冊読んだとしたら、全部で1200冊。どうしましょうか・・・・・・。「読みきれません」

 

 久しぶりに書きます。

 昨年の秋以降、企業内研修や教育機関、中小企業支援団体主催のセミナーの講師を担当する機会をたくさんいただきました。その準備に時間をとられ、なかなかブログ記事を書けませんでした。

 年度の終わりに近づき、やっとゆとりがもてるようになりました。

 セミナーの準備やセミナーでの受講者とのやり取りなどから、私にとっては新しい、現場改善や事業推進上の攻め口・視点といったことに気づくことができました。 これから、何回かに分けて書いてみます。

 

 『ポカミス』 には、 『メカニズム』があることを知りました。 不勉強であったことを自白するようなもので少々恥ずかしいですが、認めざるをえません。

 製造現場では、「ポカミス」に困っています。セミナーで受講者に対し、「現場で抱えている問題をあげてください」と問いかけたとき、必ずでてくるのが「ポカミス」問題です。その数は、わずかではありません。 「どんな品質問題を抱えていますか?」という問いかけをすると、ときには、件数で4~5割がポカミス系の問題ということもあります。 

 たいへん気になる問題なのですが、人の心や頭の中が関わることであり難しい問題であること、いくつかの問題解決系の書籍(その書籍の説くことは全体として合理的で、納得できる)で、『ひと』の問題に入るのは避けたほうがよいというニュアンスのアドバイスがあったことなどから、これまで深入りしてきませんでした。

 しかし、多くの現場でたくさん発生し、手がつけられずに、「仕方がないもの」として放置されているこの問題をそのままにしておくのは、コンサルタントとして落第では? と考えたわけです。

 そこで、手に入る書籍を集め、「これまで、ポカミスはどのようにあつかわれてきたのか」を調べてみました。 すると、ポカミスに関連するワードとして、『ポカヨケ』という言葉がありますが、これについては、たくさんの改善事例が書籍やネット記事で紹介されてることが分かりました。

 しかし、 「ポカミスはなぜ発生するのか?」  「ポカミスの発生を防ぐには、どのようなアプローチをしたらよいのか?」 ということをについて、品質管理や不良対策についての問題解決手法を調べたのでが、腑に落ちる理屈を得ることはできませんでした。

 

 困っているとき、次の2冊の書籍を発見しました。『失敗のメカニズム』(芳賀繁著、角川文庫)、『ヒューマンエラーの分析と防止』です。両方とも、『安全』分野の『ポカミス』『ヒューマンエラー』の事例、メカニズム、それを踏まえての対策について書いています。丁寧な分析と解説です。

 

 

ヒューマンエラーの分析と防止 .jpg41EF186JD2L._SL500_AA300_[1].jpg 

 

 セミナーで説明に使ったシートを1枚つけておきます。これは、上記の2さつの書籍に記載されていることからまとめたものです。

 安全のポカミスアプローチを、ポカミス系の品質問題にそのまま適用できるか、もう少し研究する必要性があると思いますが、問題解決の糸口はみつけられたのではと考えています。

ポカミス.png

 

 もうひとつ、私にとって重要な気づき(再確認)がありました。

 問題の構造について仮説をたて、問題の解決策を考え、実際にトライし、問題解決を進めると同時に、仮説を磨いていく。本来、コンサルティングとはこういうものなのでは、ということです。ほんと、当たり前のことです。

 『アイデアのヒント』(ジャック・フォスター著)(以下『ヒント』と略称)は決して固いだけの本ではありません。こんなことも書かれています。おもわず吹き出してしまいました。

 ジャン・ジャック・ルソーは言った。アイデアのヒント.png
 "To Be is to Do."
 (生きることは行動することだ)
 ジャン・ポール・サルトルは言った。
 "To Do is to Be."
 (行動することは生きることだ)
 フランク・シナトラは言った。
 "Do Be Do Be Do."

 『ヒント』を読み終えたとき、「もっと早く出会えていたら!」とつぶやいてました。

 イノベーション論の多くは、「アイデアを生む」ことそのものを深追いしていないように思えてなりませんでした。 

・どのようにビジネス・イノベーションのアイデアを生んでいるのか? 

・顧客価値提案のアイデアは、どこから、どんなふうに生まれるのか? 

・破壊的なビジネスモデルは・・・? 

 どこか腑に落ちないところがいつも残っていました。 「ブルーオーシャン戦略」「ホワイトスペース戦略」そして「価値づくりの経営」にしても、まずは、イノベーションにつながるアイデアを生まなければ、はじまらないのに、あっさりと生まれてしまったような印象が残ります。 

 ※浅学のため、読みが浅いかもしれません。違っていたらご容赦願います。

 

 

dna[1].jpg 少し前、クリステンセンさん他の方が書かれた『イノベーションのDNA』(以下、『DNA』と略称)を読み、「なるほど! そうだったんだ! それはそうだろう!」と妙に腑に落ちたのです。
 この本の「第二章 発見力その1 関連づける力」の中にある「■関連づける力を伸ばすためのヒント」の項に、強制連想法、刺激語法やオズボーンのチェックリスト法など「発想法」の諸技法が紹介されていたからです。
 「イノベーション」という今風の衣をまとっているだけど、その肝心な部分は、いわゆる「発想法」なのか?! 考えてみれば、当たり前です。 「アイデアはどこから生まれるのか」「どうしたら生まれるのか」という古くからある「問い」に対する答えが「発想法」です。
 イノベータだけ、特別な方法でイノベーションのアイデアを見つけているわけではありません。研究者、広告のクリエータ、芸術家と同じように、イノベータも発想法を使っているです。別の言い方をすれば、イノベータであるためには、自分なりの発想法を習得していることが必要条件だったということなのです。
 こんな、いたって当然の答えを『DNA』で確認しました。

 『DNA』では、イノベータを特徴づける能力が「発見力」であり、「発見力」を構成するのは「5つの力」だと説明しています。関連づける力、質問力、観察力、ネットワーク力、実験力です。
 
 『ヒント』では、「アイデアをつくる」ために以下のことが説明(提案)されています。
 アイデアを生むための心の準備として、
 第2章 もっと楽しもう
 第3章 自分を信じよう
 第4章 「その気」になろう
 第5章 子供に戻ろう
 第6章 「知りたがり」になろう
 第7章 笑われることをおそれるな
 第8章 「考え方」のヒント
 第9章 いろいろなものを組み合わせてみよう
 アイデアを生むプロセスとして、
 第10章 質問を変えてみよう
 第11章 情報をかき集めよう
 第12章 とにかく数で勝負しよう
 第13章 いったん全部忘れてしまおう
 第14章 ひらめいたら実践しよう

 『ヒント』のかなりの部分が『DNA』の言わんとしていることと重なっているように感じます。 『DNA』は『ヒント』からインスパイアされたのでは? と思ってしまうほどです。 『ヒント』の「第11章 情報をかき集めよう」に書かれている「ベーコンの宣伝」アイデアのための質問事項は、『DNA』の「第3章 発見力その2-質問力」に書かれているベイン&カンパニー会長オリット・ガディッシュの質問を思い起こさせるものでした。
 見方を変えると、『ヒント』に書かれていることは、「イノベーションを実現するためにも有効な方法だ」だと言えるということです。 これは私にとっての、セレンディピティです。ありがたい。

 

アイデアのつくり方.png それから、『ヒント』の「第5章 子供に戻ろう」は、スティーブ・ジョブズの「Stay Hungry! Stay  Foolish!」の後半「Stay Foolish」に通じるのではないか、もっと率直に言えば、「Stay Foolish=子供に戻ろう」なのではないかと感じました。 これ以外にも、たくさんの気づきを与えてくれます。
 
 『アイデアのヒント』の土台になっているのは『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著)。初版が1940年発行、70年も前に書かれた本です。現在購入できるのは、阪急コミュニケーション発行の本文60ページ弱のとても薄い本です。

 薄い本ですが、とても濃いです。エッセンスが詰まっています。

 イノベーションのことが気になって仕方がない方で、『アイデアのつくり方』と『ヒント』をまだ読んだことにない方がいらっしゃったら、読まれることをお勧めします。 

 『アイデアのつくり方』『アイデアのヒント』をもう少し深く読み、考え、中小企業製造業のイノベーション支援に活かしていきたい。

 

イノベーションを興す.png 今日、とても大きなニュースが流れました。

 「経営再建を模索していた半導体大手エルピーダメモリは27日、会社更生法の適用を東京地裁に申請した。・・・パソコンなどに使われるDRAMの市況悪化や円高で業績が急激に落ち込んだ・・・負債総額は4480億円。製造業の経営破たんでは過去最大の負債額」

 伊丹敬之氏の書かれた『イノベーションを興す』には、

 「日本の新製品づくりがどうして壁にぶつかってしまったのか?」

 1960年代から80年代まで、あれだけ元気だった電機・電子の製造業が、なぜ、今のような惨憺たる状態になってしまったのか?」

・・・といった疑問に対する「考えるヒント」「腑に落としてくれる示唆」が示されています。

 

 このニュースが流れたとき、クリステンセン他の方が書かれた『イノベーションのDNA』に対比したく、日本の学者が書いた何冊かの書籍を読み直していました。その中の一冊、伊丹敬之氏の書かれた『イノベーションを興す』が、日本の半導体企業がはまり込んでしまった『罠』についてかなり率直に、そして鋭く解釈されていることに、あらためて気づきました。

 

 腑に落ちた一節(第1章 筋のいいテーマを嗅ぎ分ける 「ロードマップのウソまこと」)から抜書きしてみます。

 ・・・「魅力的な技術の未来像を科学的知見のある人々がコンセンサスとして描いたもの」というのが、技術ロードマップの一般的な定義であろう。しかも、技術発展の道筋を時間軸を明らかにしながら描こうとする。いわば、特定分野の技術発展の未来図である。

 そうした共通理解が技術発展のために協力し合うべき人々の間で作られることには、それなりの効果があるだろう。お互いに自分は何をしなければならないか、了解し合えるからである。

 また、筋のいい技術テーマを嗅ぎ分ける立場の人にとっても、多くの識者が技術の将来をどう見ているかという情報源としてロードマップは参考にはなるだろう。どんな技術課題を最終的には乗り越える必要があるかについての情報源としても、意味が大きいだろう。

 これらのメリットは、ロードマップについての「まこと」である。しかし、ロードマップにはウソも多い。

 ・・・

 たとえば、企業の中で本社などの「権威がある」と一応思われている部署が自社の技術ロードマップなるものを企業全体の将来戦略の資料として作ると、それが実際に技術テーマの具体的プロジェクトを選択しなければならない人々にまるで天から降ってくるように下ろされてくる。これが、「この路線で考えよ」という暗黙の指示になる。結果として、現場の嗅ぎ分け努力の邪魔をする。さらに、そうしたロードマップが下りてくるのに慣れてしまうと、自分で地図を作り、自分で嗅ぎ分ける、という能力の育成にもマイナスになる。自分の頭で悩まないことには、力はつかないのである。

 その上具合の悪いことに、ロードマップには「この時点までにこうした技術が開発される」という時間入りのマイルストーンがあるのが常である。それが、技術開発活動を管理しようとする側から見れば、じつに好都合なのである。「そのマイルストーンを守れたか」が、管理指標になるからである。したがって、管理される側はマイルストーンを守ることを至上命題にしかねない。ロードマップが現場を縛るようになるのである。

 しかも、開発活動をする本人たちに「自分のロードマップを書け」という指示が上から来るようになると、ロードマップのウソも極まってくる。 ・・・自分のロードマップとはしばしば、「開発における目標管理の指標」になってしまっている。・・・ロードマップといういかにもきちんとした予測かのごとくの「発展経路の道筋」として、時間軸入りで描かせようとして、それで管理しようとするのが、間違いなのである。

 

 そもそも研究開発活動とは、未知の世界絵の探索活動である。何が出てくるか分からないからこそ、開発が必要なのである。その成果を、事前に成功時点まで含めてきちんと描けというのは、研究開発活動の本質からずれている。

 現場で筋のいい技術テーマを嗅ぎ分けようとしている人が作るべきは、自分なりの技術の俯瞰図である。自分が開発しようとする技術テーマとその関連技術についての全体的発展の予想としての俯瞰図である。・・・科学原理と社会の動きの原理の両方を考えた上で作られるべき大きな地図である。

 

 皆様はこの文章を読んでどんなことを感じられたでしょうか?

 

 今、われわれが拓かなければならない「イノベーションへの道」とは真逆の道を、長い間、放浪してきてしまったのでは・・・と、私は感じております。

 

img_1068.png 昨年11月に 『今の事業の仕組みを見える化し、新しい事業を設計し、試行錯誤する』 という記事をこのブログに書きました。これは、マーク・ジョンソンさん著書 『ホワイト・スペース戦略』 に書かれている見方・考え方・取組み方が、中小製造業の革新のための「道しるべ(道標:物事の順序を教えて手引きの役をするすること、もの)」として有用だと考え、紹介させていただいたものです。

 「顧客の未解決のジョブ」を発見し、それを解決する「顧客価値提案」を核に事業を組み立て、イノベーションにつなげることを説いています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

41rpjuqFoqL._SS400_[1].jpg ホワイト・スペース戦略が発行されるしばらく前に、宮永博史さん(東京理科大学 MOT大学院 教授)が 『顧客創造』 という本を出されています。この中で、宮永先生は 「顧客のボトルネックを発見し、顧客を創造する」という表現で、 「顧客創造」の大切さ、具体的な顧客創造への方法論を説かれています。これもとても役に立つものです。

 事例として取り上げられている企業が日本の企業・機関であり、顧客創造が身近なものと感じられましす。

 また、「本当に使えるSWOT分析の手順」という解説は、 SWOT分析の効果に少し疑問をもっていた私にとって、「なるほど・・・! そうだったのか! こう取り組み方をしたらSWOT分析は役にたつ!!!」 とSWOTの意義・有効性を "腑に落として" くれました。

 

 

 

 

 

 

 「顧客価値提案」 「顧客創造」 と使っている言葉は少し違いますが、新製品・新事業を創造するための根本的な見方・考え方・取り組み方には近いものがあります。

 少しずつではありますが、「中小製造業のイノベーション」への道が見えてきたということもありますので、ひょうご経済戦略2月号 「経営相談Q&A」 のコーナーに 『新製品・新事業開発を成功に導くヒント』 という文章を掲載していただきました。 宮永先生の「顧客創造」 に書かれた事例のひとつと、「顧客創造」の考え方を、Q&Aの形で紹介させていただきました。

 

002.jpg

http://www.genki-company-consultant.com/report.html#06

 

 経営資源が限られている中小製造業が、新製品・新事業開発を成功させる重要なポイントのひとつが、「競争に明け暮れるフィールド」 から外れ、「顧客を創造する道」を拓くことだと考えます。 そして、その第1ステップが、顧客の「未解決のジョブ」「顧客のボトルネック」を発見することです。では、どうやって発見するか?

 ホワイト・スペース戦略(マーク・ジョンソン)、価値づくり経営(延岡健太郎)、顧客創造(宮永博史)、知識創造(野中郁次郎)、そして、イノベーションのDNA(クリステンセン他)。 イノベーションに取り組むための哲学、方法論は集まりました。 ここからは、実践です。

 

※宮永先生の書かれた 『セレンディピティ』 『ひらめきを生む発想術』 という本もまた、いろいろな気づきを与えてくれます。

 

価値づくり経営の論理.png 昨年2011年9月に出版された延岡健太郎さんの著書 『価値づくり経営の論理』 のなかに、 「機能的価値」 と 「意味的価値」 に関して、以下のことが書かれています。この本、ほんと参考になる素晴らしい本です。

 ・・・・

 機能的価値とは、客観的に価値基準が決まった機能的な評価によって決まる価値である。一方、意味的価値とは、顧客が商品に対して主観的に意味づけすることによってうまれる価値である。

 機能的価値は、商品がもつ機能によって決まる価値だが、意味的価値は商品と顧客が影響し合って共創する価値だ。機能的価値は主に製造企業が決めるが、意味的価値は主に顧客が決めるといっても間違いではない。

 ・・・・

 機能的価値と意味的価値に分類する枠組みの優れた点の一つは、これら二つの軸によって商品がもつすべての価値を包括的に表すことができることである。つまり、すべての商品の価値は、機能的価値と意味的価値の合計である。

 ・・・・

 機能的価値と意味的価値という切り口でいろいろな製品を見ていくと、これから新製品開発を進めるうえでの発想のヒントを発見できます。    ※この書籍は製造業のイノベーションを説いたものですが、それ以外の分野でも参考にできる視点が多数示されています。

 今回は、この本の紹介ではなく(紹介は別の機会にもう少し丁寧にしたい)、意味的価値という視点からながめると、身近なところにビジネスアイデアが見つかるのではないかということを紹介したくて、書いています。

 

 下の3枚の写真は2週間ほど前、ウォーキングの途中で撮影したものです。

駐車場.JPG駐輪場.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駐車場、駐輪場です。表示されていることは、機能を表すものだけです。左側の写真の場合、仕様書の記載事項が大きく書かれているようで、どんな駐車場かよく分かります。右側も、場所と何をするところか、料金はどうなっているのかひと目で分かります。機能価値をとても簡潔に示していると思います。

 でも、ここで誰かと待ち合わせるとき、どう説明するか???  駐車場はたくさんあるので駐車場名でその場所を伝えるのに困った方もいるはず。

 それでは、下の写真はどうでしょうか?

乾麺パーキング.JPG

 

 姫路にお住まいの方でご存知の方、多いのではないでしょうか。乾麺のイベントなども行われるパーキングです。もちろん、このパーキングのことをまったくご存知でない方には、意味的価値はないかもしれません。でもご存知の方なら、「あそこか! 知っているよ!!!」となると想像します。

 ことによると待ち合わせに使えるかもしれません。名称自体に意味的価値が込められています。  

 このことをヒントにすると、いろいろアイデアが生まれてきます。

 

御座候.jpg  大きな城丸姫(しろまるひめ)の看板を上げた "しろまるひめパーキング" 、大きな御座候のモニュメントを掲げた"御座候パーキング"・・・・こんなパーキングがあったら、どうでしょうか。

※右の御座候のホームページから借用しました。ありがとうございます。

 京セラドームがあるのですから、"塩味饅頭パーキング"があってもいいじゃないでしょうか?

 

新HP 入り口.png しばらく前から、セレンディピティ、アブダクション、発想法・・・・・といったことを、追いかけています。発想法は4年ほど前に一度勉強し、今、セレンディピティつながりで復習しています。

 20世紀末の30年+21世紀の10年間(私の会社員人生はちょうどその時期と重なります)、ものづくり企業の多くは、品質改善とコストダウン・ムダ排除に明け暮れて生き延びてきました。 そのこと自体を否定するつもりはありません。 QCとコストダウンの活動が企業の現場力を高め、それが競争を優位に進め、利益を生み出してきたことは事実ですし、QCDを改善していく現場力が、これからも「ものづくり企業」の基盤であることはかわりません。

 これまでの50年、右肩上がりの経済環境だったので、QCDというわかりやすい尺度での競争戦略が有効だったのではないかと思います。 今、市場(内需)が縮小し、さらに、さまざまな製品があっという間にコモディティ化しています。 需要の多くは、海外から入ってくる機能価値製品で十分に満たされてしまうようになってしまいました。 単純な競争戦略では売上を確保することが難しい時代に入っているといえます。

 中小企業を支援する中で、やる気のある企業であればこそ、「新しい道を拓かねばならない」のではないかという思いを強くしています。 今あるものの改善に使う力の一部を、「新しい道」を拓くことにまわして欲しいのです。

 では、どうしたらいいか? 

 MOT、ブルーオーシャン戦略・ホワイトスペース戦略などのイノベーション論、ものづくり論、価値づくりなど、さまざまな見方、視点、モデルが提案されています。 3Mのポストイットやスティーブ・ジョブスさんの一連の新製品・新事業、インドのタタ自動車の事例などを材料に、事業のフレームやマネジメントのあり方がわかり安く分析され、理論的な整理も行われています。 しかし、「どんな風にしたらアイデアを発想できるのか」、「そんなビジネスアイデア、新製品のアイデアはどうしたら生まれるか」ということを腑に落ちるレベルで語ってくれてはいません。 「アイデアが生まれました。そして、・・・・」という形での説明が多いように感じます。

  『新たな製品』 『新たな事業』 そのものを見つけ出す、生み出す方法、これが肝心なところです。

 そんなとき出会ったのが、セレンディピティだし、アブダクションでした。 セレンディピティと出会ったこと自体がセレンディピティだと思っています。 これから、何回かにわたって、セレンディピティにつながる何冊かの書籍で発見した「新しい道を拓くためのヒント」を紹介していきます。

 

img_1068.png 中小製造業をつつむ市場環境はますます厳しくなっています。仕事を確保すること自体が難しくなり、たとえ、仕事を確保できたとしても発注元の値下げ要求がきつく、利益がでないどころでなく、赤字覚悟で受注せざるを得なくなっている企業が多いのではないでしょうか。

 コンサルタントの仕事を積み上げるなかで、中小製造業が生き残るには、現場改善のレベルを超えた、革新的な製品づくりや事業(ビジネス、商売)の革新が必要だという思いが強くなってきています。5Sや日常的な改善、ムダ取りももちろん大切ですが、ものづくりの基盤を強くすると同時に、新製品・新事業を意図的に、目的的に創造していくことが本当に重要になってきました。

 新製品・新事業を創造するには、どのように取り組んだらいいのでしょうか。「こうやれば簡単、確実に創造できます」という玉手箱のようなものはありません。しかし、革新のための「道しるべ(道標:物事の順序を教えて手引きの役をするすること、もの)」として頼れる本はあります。そのひとつが、ホワイトスペース戦略です。著者はマーク・ジョンソンさん。

 序文(A・G・ラフリー氏 P&G前会長兼CEO)にこの本のポイントが書かれている。

=========================

 ・・・本書『ホワイトスペース戦略』でジョンソンは、ビジネスモデル・イノベーションが力強い成長の起爆剤になることを説得力豊かに論じている。ビジネスモデルにイノベーションを起こせば、既存の市場を変革し、あるいは新しい市場をつくり出すことを通じて、ホワイトスペース――既存のビジネスモデルの対象外の領域――に進出し、成長の扉を開ける場合があるのだ。

 本書の大きな意義は、ビジネスモデルの構成要素を明らかにするという非常に困難な課題を成し遂げたことにある。ジョンソンはさまざまな業界に関する入念な研究を土台に、ビジネスモデルの「四つの箱」と名づけた強力な枠組みを打ち出した・・・。

 変革を成し遂げるためにはまず、自分たちが現在おこなっているビジネスの性格を正しく把握する必要がある。顧客価値提案、利益方程式、主要経営資源、主要業務プロセスの「四つの箱」の枠組みに沿って検討すれば、既存のビジネスモデルを成功させている要素が明確に理解できるはずだ。新しいビジネスチャンスを活用するうえで、既存のビジネスのどの要素を変更すべきかも見えてくるだろう・・・

=========================

 

img_1069.png このブログ記事の表題「今の事業の仕組みを見える化し、新しい事業を設計し、試行錯誤する」はホワイトスペース戦略に示されていることを参考に、私なりに整理した「新事業創造の取り組み」の要点である。

 ※「試行錯誤」は「戦略クラフティング」から取り入れた。

 

 革新の道しるべとなるものとして、『価値づくりの経営の論理』(著者 岡健太郎 日本経済新聞出版社)もあげられます。次の機会に紹介します。

 

 

 まだ読んだことがない人にはぜひ薦めたい本です。img_1063.png

 幸之助論(MATSUYSHITA LEADERSHIP) ジョン・P・コッター=著 金井壽宏=監訳 高橋啓=訳(ダイアモンド社)。

 この本のポイント(大切なことがら)につながる文章の一部を転記しておきます。

 ~本書は時系列による構成をなしているが、従来型の伝記を目指すものではない。歴史的記録を網羅するのではなく、彼のおびただしい業績と彼の経験から何を学べるかに焦点を当てている。 

 ~ここで検討する問題は、彼の人生からくみ取れる教訓は、21世紀の世界でいかに有効になりうるかである。

 ~起業して間もなくの成功は、彼の小さな会社の競争相手とは一線を画するような事業戦略と営業手法に直接由来するものだった。強い顧客志向、生産性とコスト削減に対する執着、リスクに挑戦して他社が発明した製品を改良しようとする意志、画期的なマーケティング、迅速な商品開発、アフターサービス、絶えざる改革への意欲、従業員に対する信頼、専売の販売流通制度、事業対象の限定など、すべての要因がこの会社を規模の面でも収益の面でも急速に成長させた。多くの日本企業が大量生産や大量販売の威力を知るより数十年も先んじて、幸之助はその道に先鞭をつかてのである。基本的な技術革新は他社に任せて、生産と販売の分野で大胆な戦略を展開することにより、いくつかの製品分野を支配できることに世界のどの企業が気づくよりも先に、松下電器はその模範を示した。トム・ピータースとロバート・ウォーターマンが1982年(昭和57)に発表した『エクセレント・カンパニー』で書いた営業方法を、幸之助は優に60年も前に発見し、使っていたのである。

 ~青年期を通じて、幸之助を並以上の才能だと見なす人はほとんどいなかった。ましてや偉大と見なす人などいるはずもなかった。彼は凡庸な少年だった。20代初め頃は、神経質で病弱な青年だった。ところが30代に入ると・・・・・

 しかし、その生涯を通じて彼がいかんなく発揮したものは、驚くべき成長と再生の能力であり、ほとんどの専門家が一致して認めていることろによれば、比較的動きの遅かった過去の世紀よりも、より動きの速い21世紀において重要になる能力だ。

 子供はラクラクと物事を学習し、急速なペースで技能を伸ばしていく。大人は学ぶにしても、時間がかかることが多い。幸之助は事あるごとに、こういったすべてのことに関する自分のものの考え方は、ある詩の一節に要約されていると語った。その詩は次のように始まっている。

 『青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたを言う。薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。

 青春とは怯懦を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。』

 

 この本から、つまり、コッター先生の焦点をあてた幸之助の生き方・考え方から何を学ぶか。

 最初、私は、この本から、幸之助のビジネスモデル・イノベーションの匂いを感じとりましたが、しばらくして、もう一度読み直したら、別の意味を見つけられるのではないかと思っています。

  

 

img_1043.jpg ものづくり企業の現場力を高めるために重要な考え方、そのため具体的に取り組むためのヒントなど、たくさんの大切なことを教えてくれる本です。

 学者の理論・理屈から書かれた本ではありません。頭でっかちになる心配はありません。

 

 この本は、先ほど紹介した『リーディングス 日本企業システム 組織能力・知識・人材』に入っている、小池和男氏の論文「もの造りの技能 自動車生産職場」の出典元の本です。

 論文の方は、研究の内容の要点を20ページほどにまとめたものですが、右の本は、419ページというボリュームの中に、現場(自動車産業の主要職場、組立・プレス・車体溶接・プラスチック成形・塗装・鋳造・鍛造職場)の『技能』についての緻密な調査結果が、分かりやすい文章で具体的に書かれています。

 学者対象ではなく、ものづくりに関わる実務の人を対象に書かれているのでしょう、本当に読みやすい文章です。

 

 はしがき他から一部引用します。

「・・・これほど多様な職場をこれほど具体的に調べた仕事を寡聞にして知らない。30に近い職場へ、それぞれ数回ずつくりかえしたずね、じっくりとベテランの話をうかがった。・・・

 こうした調査の結果、そこに瞠目すべき高度で知的な技能の存在が明らかになった。くりかえし作業に終わるとみられる職場にも、すぐれて高度で知的な熟練がある。職場にはおどろくほどさまざまなトラブルや変化がおきている。くりかえし作業では他国と差はつかない。しかし、トラブルや変化をいかにこなすかによって効率は大きく異なる。そのトラブルや変化をこなす技能を、職場の実際に即して明らかにする。誠に、私たちは当初予想していたよりはるかにすばらしい、きわめて高度な技能を見出した。おどろくほど「論理的」で「科学的」という形容詞、まさに知的熟練というにふさわしい。・・・・」

「・・・いまや世界の最高賃金国のひとつになった日本にとって、行きぬく途は技能にかけるほかない。これまでの研究によれば、おなじ機械、おなじハードな設備でも生産性は国や職場によって大きく異なる。ときに数倍の差があり、先進国でも5割をこえる差がみられる。そのすべてではなくとも、その少なからずが技能の差による、と推量できる。・・・

 この研究の明らかな特色は、その肝要な技能の内容をきわめて具体的に解明した点にある。それゆえに、その技能がどのようなしくみで効率を高めるのか、それを説明したことにある。・・・この研究の特色はまさにそれを詳しく具体的に明らかにした点にある。・・・・」

 

 読んでみると、上に書かれた通りの、技能についての具体的で、緻密なドキュメントになっています。また、そこに書かれていることは、大企業だけでなく、中小の製造業の技能を高めるための取り組みに十二分に役立つものです。

 人材育成、技能アップに取り組もうとされている中小製造業経営者、それを支援する立場の方には一度目を通して欲しい本です。

※もう少し早くこの本に出会っていたらと、悔やまれる本です。

※表題に「Goodjob!!!」をつけたのは、「本当にいい仕事しているな!」と感動したからです。

 

 

img_1037.jpg 製造業の「ものづくりの力」を強化するにはどのような考え方、取り組み方が大切なのか?

 中小製造業の経営改善、現場改善の支援を生業(なりわい)にしている私にとって、永遠の課題、言い換えると、追いかけていき手が届くかなと思ったとたんに1歩も2歩も先に行ってしまう、なかなか到達できないテーマです。

 では、「ものづくりの力」とは一体何なのか。

 このことを考える上で、大変に参考になるのが、一橋ビジネスレビューの「新・現場力の論理」です。

 「現場力」という言葉の流行のきっかけを作った遠藤功氏の「根源的組織能力としての現場力」は、現場力の構成要素を明らかにし、また、顧客価値と現場力のつながりを分かりやすく説かれています。

 中沢孝夫氏の「中小企業の現場力」は、人材育成の切り口から現場力を考えることの重要さを教えてくれています。

 

 中沢孝夫氏論文の参考文献として紹介されている書籍の中に、私の「ものづくり力」理解を大きく進めてくれる本がありました。

 ひとつは「リーディングス 日本の企業システム 4巻 組織能力・知識・人材」です。

 藤本隆宏氏の序章から抜書きします。

「・・・脳天気な雰囲気的楽観論も不要だが、雰囲気的な悲観論も建設的な解は生まない。我々が見たいのは、地道なデータ収集や現場に基づく、地に足の着いた実証分析である。・・・日本企業の強みといわれてきた現場、知識創造、熟練形成、人づくりなどの分野に関して、表面的な議論に振り回されず、「マクロ経済からの類推」という誘惑にも負けず、頑固にミクロの現場を見続けてきた論客の議論を収集した。・・・」

「・・・過去十数年、日本には多くの新しい手法が伝来した。ブームそのものは半年ほどで去るが、それなりに定着して受け入れられてきたものもある。しかし、本巻では、そうした「流行りもの」の説明は対象としていない。むしろ、流行を超えて十数年同じテーマを追っている研究を優先させた。その意味で、本巻にはバイアスがかかっている。温故知新バイアスである」

 

この本ではじめて出会った先生方の論文名です。

「もの造りの技能 自動車生産職場」 小池和男氏

「イノベーションと熟練」 中馬宏之氏

「日本型年功制の再評価」 高橋伸夫

どの論文も、とても新鮮で、強いインパクトを受けました。

 著名な先生方の論文も入っています。

「日本型生産システム」 藤本隆宏氏

「日本企業の総合力」 野中意郁次郎氏

「プロジェクト知識のマネジメント」

              青島矢一・延岡健太郎氏

「一皮むける経験」とリーダーシップ開発

              金井壽宏・古野庸一氏 

等々。

 

 今年上半期に読んだ中でベスト5に入る書籍です。

 製造業の支援に取り組もうとする者に役立つ本だと思います。

  

003.jpg 6月の「ひょうご経済戦略」は、「平成22年度ひょうごものづくり技術大賞」を受賞した4社の新技術・新商品開発への取り組みプロセスが特集されています。

 姫路の「ハマックス株式会社」、西脇の「株式会社 片山商店」、加東市の「阿江ハンカチーフ株式会社」、南あわじ市の「野水瓦産業株式会社」の4社の取り組みはほんとうにすばらしいです。

 

 企業は顧客価値を創造するために存在するといっても過言ではありません。4社は保有している技術を活かし、お客様に新たな価値を提供されてました。

 オンリー・ワン(Only One)の "Good Job!!!" です。

 

 この特集の末尾に、私のインタビュー記事が掲載されています。

 「新製品開発を成功させるには」というテーマで、顧客価値創造、現場力、チーム育てという新製品・新技術開発の成功のポイントについてコメントさせていただきました。

 

 ものづくりマネジメントの奥深さをつくづく感じている今日この頃です。これらも、企業の支援を通して、ものづくりの技術力・職人力・現場力・組織能力を顧客価値創造につなげる実践理論を構築していきます。

 

004.jpg  

 

                                                                                     宮大工の人育て (祥伝社新書 104)

 img_1041.JPG多くの中小製造業の現場で、「いい仕事」をしているのは、「職人」と呼ぶのがふさわしい方々です。

 「いい仕事」は、高い顧客価値を生みだす仕事ということもできます。 

 材料やものづくりのための機械・装置も大切ですが、職人の腕・技能がそのまま顧客価値の創造につながっている、そういったものづくりの現場がこの国の社会や産業を支えていることは確かだと思います。

 

 「いい仕事をする職人を、どのように育てていったらいいのか?」

 製造業に長い間勤めるなかで、私の中に形作られてきた人材育成・作業訓練の考え方、方法論は、「職人を育てる」ということに適用できない(適用しにくい)のではないか、もっと別の取り組み方があるのではないと、中小企業の支援を重ねるにしたがい、考えるようになりました。

 

 これから、このことについて、少しずつまとめてみたいと考えています。

 職人が自ら著した書籍等に書かれていることと、これまで私の経験したことを重ねて考えを整理していきたい。

 

 上の本は、菊地恭二さんという方が「人育て」について書かれた本です。

  「基本は『教えない』こと」というのがキャッチフレーズになっています。 ただ、「教える」という言葉の意味を「知識・学問・技能などを相手に身につけさせるよう導く」(デジタル大辞泉)と解釈した場合、菊地氏はとても巧みに「教えている」と見ました。

 今、私の探している答えのひとつがこの辺りにありそうです。

img_1038.png 金井壽宏先生他、神戸大学大学院経営研究科の方々が書かれた「リーダーシップの持(自)論的アプローチ」の冒頭の文章から引用します。

 

 「ただ鑑賞するように学び、頭で知識として知るだけですむことも世の中には存在する。しかし、実践につなげるためには、違う学び方がある。自分に引き寄せること、経験や観察と結びつけて、自分なりの考えをしっかりもつことが大切になるような学びがある。(中略)

 われわれは、自分が入門し技を磨きたいと思っている領域ではそのように学んでいるはずだ。うまくなるころには、一家言、自分なりの持(自)論のようなものを持って、能書きを垂れるようになる。(中略)

 たとえば、自らサッカーをプレーしなくても、ルール、各チームの特徴、作戦、フォーメーション等々を知ることで、見ることが以前よりも楽しめる。自らギターを弾かなくても、楽器やアンプの種類と音色の特徴、スケール、いくつかの代表的奏法などをかじると、演奏を聞くのが以前よりも熱心になれる。(中略)

 球技にもセオリーがあれば、奏法にもセオリーがある。それらは、役にたたないむなしいセオリーではなく、実際のプレーに役立つから、セオリーとして生き残っているのだ。そういう実践家が実際によりいいパフォーマンスを導くために現場で使っているセオリーのことを、持(自)論という。自分の考えを表明しているセオリーという意味では、普遍的なセオリーというより、マイ・パーソナル・セオリー、セルフ・セオリーという意味では、持論である。(中略)

 セオリーが実践とつながるとき、実践からセオリーが生まれるとき、われわれは、鑑賞するために学んでいる段階を超えて、よりよい実践を自ら行えるように学習しているといえる。こういうときのセオリーを、学者が検証することを目的に科学者としての手順にそって構築される理論、つまり公式理論(formal theory)と区別して、実践的理論(practical theory)とも呼ぶが、本論文では、すぐれた実践家が持っている自分なりの持(自)論という意味で、「持(自)論」(practical self theory-in-use)と標記する。」

 

 少し前、この論文を読み、目の前がひらけた感じをもちました。目から鱗ではなく、視野が広がったということです。

 コンサルタントとして活動をはじめて約4年が経過し、次の段階をめざす時期にさしかかってきました。

 「自ら『持(自)論』『実践的理論』を見える形にしていくこと、そして、支援している企業の経営者が自信をもって『持(自)論』を語るようになることを目標に取り組もう!!!」  そんな「やる気」をこの論文の「1.じはじめに」の部分からいただきました。

 

 この論文の次の項、「2.経営学のなかの持(自)論アプローチの嚆矢」も経営学の初学者には役立つものと考えます。

  

 

img_1036.png「職人の腕」が顧客価値を決める仕事があります。

 

建築業界、一品受注の金属加工品製造、伝統工芸など、「職人」と呼ばれる方々が活躍している分野です。

この分野の企業経営者は、

「若い職人をどう確保するか」

「職人の技能をどう上げていくか」

「職人のやる気をどう引きだしていくか」

といったことに、日々心をつかっています。

 

こういった企業の経営改善を支援するとき、コンサルタントとしても、この「職人を育てる」という難しい問題を避けて通ることはできません。

 

「機械化が進んだ大手企業」と「職人技への依存度が高い中小企業」では、採用した社員のキャリアは異なりますし、入社時点でのモチベーションにも差があります。

また、社内教育手法やインストラクター養成講座なども、大手企業向けのものはたくさん揃っていますが、中小・零細製造企業の職人育成を対象とするものは見かけません。

かなり難しいテーマです。

 

この本は、本人自身が職人として腕を磨き、また経営者として職人を育てることに努力してきた(有)阿久津左官店 阿久津社長が書かれたものです。

職人育成について、具体的に、たいへん平易に、わかりやすく書かれています。また、職人の心の中を優しく解説してくれています。職人経験のない管理者・支援者を含め、職人力向上を願う中小製造業の方々に役立つ本だと思います。

 元気カンパニー仕事研究所では、機械金属加工業、電気機器ユニット組立業など「下請け」的な取引きが中心の中小製造業などを対象に、現場力の強化を基本に置き、保有技術の強化・新製品開発推進などの支援に取り組んでいます。

 こういった活動に取り組む中で、中小製造業(特に小規模な製造業)のための「経営戦略論」「新製品・新製品開発戦略」を構築しなければならないという気持ちが強くなっています。

 

img_1025②.jpg Harvard Business Review  (February 2007)に掲載されている戦略論(たとえば、ポーター先生の「競争戦略」、プラハッド先生・ハメル先生の「コア・コンピタンス経営」、ミンツバーグ先生の「戦略クラフティング」など)は、それぞれ大変に普遍性をもった「論」なのですが、中小製造業の現実を踏まえたとき、「そのままあてはめるのは難しいな」というのが正直な印象です。

 また、ブルー・オーシャン戦略も大変に興味深い「論」です。「競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にする」という発想は重要だし、中小企業の目指したい方向です。しかし、B to Bビジネスの下請け的な中小製造業に適用するには、ブルー・オーシャン戦略では取り上げられていないいくつかの切り口をつけ加える必要がありそうです。

  こんなことを考えながら、碩学が著した書籍の中を彷徨する中で、いくつか"ハッ!"とするような気づきが生まれてきています。そんな気づきを与えてくれた本をご紹介していきます。

 

411M9TZMVSL._SS500_[1].jpg 今回は「B2Bマーケティング =顧客価値の向上に貢献する7つのプロセス=」です。"ハッ!"とした記載内容を列記します。

 ①B to B 産業の企業間のあり方は、たとえば工作機械や計測機器などに見られるが、「系列」に代表されるように、大企業が中心となって多くの中小企業との協力関係を構成するものであった。ここにはさまざまなメリットがある半面、真の競争関係が働いているとは言い難かった

 

②マーケティングの潮流として、顧客に焦点を絞ることが強調されてきているが、実際には、プロダクト・マネジャーという職務に代表されるように、依然として製品中心の考え方に重きが置かれている

・・・組織全体を通して顧客を知ることに徹しなければならない。・・・では、具体的にどうすればよいのか。それは、顧客の側に立った製品づくりを実現するためにイニシアティブをとって活動する、新しいプロセスのインテグレーター、すなわちカスタマー・マネジャーを配置することである。

 

③いまや、サービスは経営課題の一つである。よいサービスは顧客ロイヤルティに結実するからである。・・・アフター・サービスを強化することは、製品をリニューアルしなくても容易にできる。つまり、マーケティングにとって最も効果的なツールなのだ。

 

《監修者あとがき》から

 この本には以下のような点については実務的に述べられている。

◆特定少数の顧客をターゲットとした、B to Bマーケティングならではの特性と課題

◆顧客起点から見た体系的市場分析

◆製品イノベーションのための市場・顧客ニーズ分析の進め方

◆拡販に向けた、徹底して顧客分析

◆顧客囲い込みを志向したカスタマー・サービスのあり方など

 

 『全員参画のマーケティング』の活動に役立ちそうな考え方、手法なども丁寧に書かれています。

 皆さまは『技術KI計画』または『KI計画』という言葉をご存知でしょうか?

 私の会社員時代最後の大きな仕事が所属していた事業所に技術KI計画を導入することでした。

 当時、まわりにいる新製品開発担当技術者は本当に熱心に取り組んでいるのですが、期待する成果になかなかたどり着けませんでした。そして、技術者の疲れきっている様子に心が痛みました。「なんとかしなければ・・・・」という思いから、新製品開発の進め方を改善・革新する方法論について書籍やインターネットから情報を収集しました。

img_1032②.png このとき発見したのが『技術者の知的生産性向上』(岡田幹雄 著)。この本を教えてくれたのは、「 『情報と中小企業』メールニュースNo.028 」というメルマガでした。早速この本を購入し、読みました。

 「これだ!」「開発を変え、技術者を元気にできるのはこれだ!!!」と興奮したことを覚えています。

 もう少し調べてみようということで、TPMの導入時にお世話になったJIPMソリューション関西オフィスの岡村所長に紹介してもらい、技術KI計画のコンサルティングを行っているJMACの佐藤本部長とコンタクトしました。そして、導入事例の情報を収集したり、また、技術KI計画のことを書いたCompassというメルマガのバックナンバーを集めたりと、さらに調査を進めました。

 過去、いろいろな体質改善活動を事業所に導入してきましたが、技術部門、特に研究開発部門は「のりが悪い」ことが多かったので、果たして「その気になるかな?」と心配しました。しかし、勝手連スタイルで事業所内の普及啓蒙活動をスタートしたところ、賛同してくれる管理者、開発担当者が出てきてくれたのです。

 「これは会社に導入できる。導入しなければならない。副作用は少ない。開発の連中も理解してくれている」と自信を深めました。

 このときに、自宅で作成した普及啓蒙用の資料を、次回から何回かに分けてご紹介します。

 技術KI計画の独特の用語をあまり使わず説明していますので、技術KI計画がはじめての方にもなじみやすいはずです。この情報が皆さんのお役に立てることを祈っています。

 

この本はこんな書き出したではじまります。img_1020②.png

《まえがき》

 マネジメントの方法が氾濫している。氾濫していること自体に問題はない。問題なのは、新しい方法を追い求める企業や人の姿が、インスタント食品で食卓を飾る主婦の姿にどこか似ていることである。できあいの完成品を求めることに急で、やり方を自力で開発する能力を衰退させてしまっているのではないだろうか。

 手本にたよることをやめて、「自前のやり方」を開発する、それがたくましく自立する人や集団のあるべき姿であろう。コンサルタント会社の提供する既製品にいつまでもたよるのではなく、自前の「やり方開発能力」を育て身につける必要がある。  (中略)

 私たちは仕事に生きがいを感じたいと願っている。むろん仕事だけが生きがいの場ではない。家庭もいきがいの場だし、ゴルフやマージャンにも生きがいはあるだろう。しかし「仕事に生きがいを感じられない人の家庭生活や遊び生活が、生きがいに満ち満ちている」とは信じられない。やはり私たちは仕事に生きがいを見出せるほうが幸せだ。

 仕事の中の生きがいとは、仕事に感じる面白味と充実感ということだが、その面白味・充実感は、「自分の仕事の中で自分なりの発見をしたときの感動である」と"発見"したことが仕事研究集団マネジメントの基礎となった。

《仕事の中心を「研究的活動」におく》

マネジメントの中心を「研究」におく

 小学校の理科の実験で、カエルの腹をさく。脚の筋肉をむき出しにする。筋肉に電流を流す。いまはどうか知らないが、われわれの世代では、カエルの解剖は少年の日の共通の、衝撃の思い出である。

 大きな研究組織が通信衛星をつかった高速伝送の研究をするのも、小ぶりの研究室でひっそりニンジンの細胞融合の実験をするのも、本質的手にはカエルの研究と変わりはない。

 研究とは、なんとかしたいことがあって、 

   イ)調べて、

   ロ)重要なポイント(仮説)を見つけて、

   ハ)仮説を実験してみて、

   ニ)最後に対策を立てる(理論の完成)

という一連のプロセスをふめばよいのである。(中略)

 疑問をもつ。事実から考える。ためしてみる。こうした人類数十万年の営みの原理を、いまわれわれはマネジメントの中心思想にしようと試みているのである。(中略)

 「研究」は科学的な合理的行為である。その科学的・合理的行為を日常の仕事にもちこむことで、おもしろいはずのなかった「仕事」の中に本源的なおもしろさがあることが見えてくる。これが、現在のわれわれの仮説である。

 

img_1007②.png  この本はこんな書き出すではじまります。

《はじめに》

 おもしろいはずのない仕事というものを、おもしろいものに転換する方法があったらどんなによいだろう。

 むろん、ここでいうおもしろさは漫才のおもしろさとは違う。仕事への興味とか、達成感とか、自分が主役だという感じとか、なにかそのような種類の「真剣なおもしろさ」ということである。

 もし仕事を、「与えられたとおりに機械的に」ではなく、「自分なりのやり方を開発して創造的に」行えるなら、私たちは仕事に「真剣なおもしろさ」を感じることができるに違いない。ではどうしたら「仕事のやり方」を開発できるのか。その方法を提供することがこの本の目的である。

 仕事のやり方を開発するのだから、個人にとってもおもしろいのだが、業績が上がるという、企業にとってうれしい結果もでる。

 こうした「やり方開発」をもつ人々が、個々バラバラにではなく、仲間どうして力を合わせるならば、人は自分の力で自分の職場を「生きる喜びの場」にすることができる。

《第1章 仕事のすすめ方の基本を「研究」に置く》

発見の喜びが人を変える

 実態に基づいて仕事を考えることの功徳は、仕事の中に自分なりの発見ができることである。躍り上がって喜ぶか、胸のうちで小さく「やった」とつぶやくかはともかく、新しい発見をすることは発見者にとっての純粋な喜びである。

 もし日常の仕事が発見の喜びで埋まるとしたら、必ずしも好きでやっているとはかぎらない仕事を、おもしろくて仕方のないものに変えることができる。

 もしそのような仕事遂行を職場の仲間と力をあわせてやれるとしたら、職場の人間関係はまったく新しい関係になる。

 

※本の紹介が目的なので、要約も試みたのですが、中身が濃く、まとめきれませんでした。 そこで、本の雰囲気を表す部分の抜書きしました。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2冊とも、伊桜淑親氏の著書。前者の出版年は昭和61年(1986年)、後者は昭和63年(1988年)です。私が以前勤めていた会社では、この本が出版された頃、伊桜先生に支援をいただき「いきいきサークル」という小集団活動に数年間取り組みました。

 退職する少し前(2007年頃)、この活動の経験者から思い出話を聞きました。多くの人が、「会社ではいろいろな改善活動、小集団活動をやってきたが、『いきいきサークル』は本当に良かった。格別の活動でした。イヤな思い出がありません」と語っていました。

 2冊の本は、人とチームに対する絶大な信頼、「発見」が人とチームを育てるという信念に基づいて書かれた、「小集団育成」と「マネジメント革新」を実現する実践の書です。この本は若干数の古本が流通しているだけです。とても残念です。

 ちなみに、私の事務所名の「仕事研究所」は、伊桜先生の「仕事研究」からとったものです。

 

51XNQJ1IggL._SS500_[1].jpgのサムネール画像梅原氏はこのように書かれています。

「私の経営はいってみればまるっきりの自己流です。大学の経営学部を出ているわけでもないし、自分で勉強しようにも、町工場の経営書などというものがそもそもありません。ドラッカーの本を読んだって、町工場が利益を出すためにはこうしなさいなんていうことはひとことも書いてないのです。だから私は自分の経験と勘と信念、あとは見よう見まねでやるかなかったのです。」

しかし、「先を読んで動く」、「短納期の秘密」、「これが利益を出す経営だ」など各章、各節に書かれていることは、「コア技術戦略」、「ブルー・オーシャン戦略」、「場の論理」等々の戦略論につながっているという印象を強くもちました。とても理にかなっている素晴らしい経営実践の経過が書かれた本です。

また、「『親方になる』夢をもつ」、「志をもつ人だけがチャンスに気づく」など、たたき上げの製造業経営者ならではの言葉には感動しました。

これからの成長・拡大を目指す経営者、経営を変えて行かねばと考えている経営者にとっては貴重な経営実践の書といえます。また、中小製造業を支援するコンサルタントにとっては、一読すべき"気づき"の書だと思います。

MTBlog42c2BetaInner

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

アイテム

  • 51MR1KTQHKL._SX344_BO1,204,203,200_[1].jpg
  • 部下を育てるものの言い方③.png
  • 部下を育てるものの言い方.jpg
  • 経営がみえる会計.png
  • 経営がみえる会計.jpg
  • 組織の3要素②.png
  • 組織の3要素.png
  • 組織の3要素③.png
  • 組織の3要素② 圧縮.jpg
  • 組織の3要素 圧縮.jpg
MovableType(MT)テンプレート 無料(フリー)
Powered by Movable Type 4.261